30代に向けての意気込み

 そんな佐久間さんの俳優人生で大きな影響を与えた映画は『愛のむきだし』だという。

『愛の~』は親から愛情を受けずに育った若者たちをキリストの宗教観、暴力、新興宗教などを絡めて描いている。園子温が監督を務めた。

「満島ひかりさんと安藤サクラさんの素晴らしいお芝居、作品そのもののメッセージ性が強烈で、しかも上映時間が4時間ぐらいあって(笑)。“こんな世界があるんだな”って感化されて、お芝居をもっと頑張りたいなって思いがより強くなった切っ掛けとなった作品でしたね」

 プライベートでは現在29歳。

「20代前半の後半とでは変わってきているのかな(笑)。でも、よりお芝居が好きになっている感じはあると思います。20代前半は、もうちょっとお芝居が上手になりたいとか、こういうスキルが欲しいとか。そういう自分がまだ持っていないものに対して、すごくコンプレックスを抱えていたんです。いま振り返ると、それが表に出てこないようにしなきゃって一生懸命になっていた時期もありました。でも、20代後半になった時に、そういうものを隠すのではなくて、全部提示したうえで皆さんに協力してもらった結果、お芝居に対してちょっと構えていたものが、そうじゃなくてフラットに向き合えるようになった気がします。もっと、みんなに頼る……頼らせてもらえる様になりましたね。それで、お芝居が好きだな~って感じる瞬間がすごく増えた気がします」

 30代に向けての、俳優としての意気込みは……。

「変わらず、マイペースでひとつひとつやっていきたいというのはありますけど、年齢を重ねていくうえで、いただく役柄も変わっていくのは嬉しいですよね。例えば、母親役とか教師役とか、20代前半ではなかなか叶わなかった役柄を演じていける楽しみはあります。でも、30代になっても、40代になっても、初心を忘れずにコツコツやっていきたいです」

 佐久間由衣は、俳優としてこれからも邁進を続けていく。

佐久間由衣(さくま・ゆい)
1995年3月10日、神奈川県生まれ。O型。T170㎝。2013年に女性ファッション誌『ViVi』の専属モデルとしてデビュー。2014年、映画『人狼ゲーム ビーストゲーム』で俳優デビュー。2015年、ドラマ『トランジットガールズ』でドラマ初主演を果たす。2019年に映画『“隠れビッチ”やっていました。』で映画初主演を果たした。主な出演作にNHK朝ドラ『ひよっこ』、『らんまん』、『彼女はキレイだった』、『最愛』などのドラマや『君は永遠にそいつらより若い』、『キングダム 運命の炎』、『ゆとりですがなにか インターナショナル』などの映画がある。

●作品情報
『映画 おいハンサム‼』
脚本・監督:山口雅俊
原作:伊藤理佐
出演:吉田鋼太郎、木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈、MEGUMI ほか
配給:東宝
🄫2024映画「おいハンサム‼」製作委員会
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