アイドルグループ『幕末塾』メンバーとしてデビューし、その後ドラマ出演や情報番組のリポーターとして活躍。現在は「海の宝石箱や!」などの名フレーズを生み出しグルメリポートの第一人者としてお茶の間に知られる人気者になった彦摩呂。彼の「THE CHANGE」とは?【第2回/全2回】

彦摩呂 撮影/貴田茂和

 役者として、周防正行監督の映画『ファンシイダンス』や、松雪泰子さん出演の『白鳥麗子でございます』、水谷豊さん出演ドラマ『刑事貴族』などなど、立て続けに人気作品に出演することができました。

 けれどもそのうち、街中をぶらぶら歩いて、「人と触れ合う仕事がしたい」と思うようになってきたんです。事務所にもそのことを伝えたら、「てっきり役者で勝負するんだと思っていたから、いつ苗字をつけようかって考えていたんだよ」と驚かれたのですが、僕の熱意が伝わったこともあって、日曜日のお昼に日本テレビで放送されていた『山田邦子の旅クラブ』にお試しで出演することになったんです。

 このときロケで行ったのが、日暮里にあったお菓子問屋。おいしさを伝えようと、袋から取り出したチョコパイを2つに割って、「見てください。このクリームは食欲が湧きますね」

 と言って断面を見せたところ、プロデューサーから、「すごくよかった」と好評で、そのままレギュラーになったんです。

 他の局のプロデューサーも、このときの僕の様子をテレビで見てくれていたらしく、「ウチの情報番組にも出ないか」と、スペシャル番組の温泉紹介や、芸能人の豪邸訪問、ペット訪問など、たくさんのオファーをいただくようになりました。

 一方で当時はまだ「グルメリポーター」や「食レポ」という言葉はありませんでしたが、「どうやったらおいしく食べているように見えるんだろうか」と、料理の見せ方の研究には余念がありませんでした。オンエアで使われた映像とお蔵入りになった映像を見比べて、「こうすればいいのかな」というのが少しずつ分かってきたんです。