「動物のお坊さん」として多くのメディアに取り上げられている横田晴正さんは、曹洞宗長福寺の住職である。横田さんにとっての「THE CHANGE」、人生の転機にはいつも動物がいた。
 10歳の時の愛猫との死別、小中学時代の壮絶ないじめ、動物園が繋いだ運命の出会い、過酷な修行後の臨死体験…、動物との不思議な縁がもたらした数奇な出来事を経て、動物の死と向き合い続けているーー。 

撮影/双葉社THECHANGE編集部

 幼いころから動物が大好きだったという横田さんは、朗らかな笑顔で取材に応じてくれた。場所は都内にある「ペット霊園 ソウルメイト」東京分室。ここで、亡くなった動物たちを供養し、お経をあげ、ペットロスに苦しむ人の心のケアを行なっている。

TV番組『坂上どうぶつ王国』への出演

 2020年に「動物のために転身…1万匹の死と向き合ったお坊さん」と題して、テレビの動物番組『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)が放送され、大きな反響があったという。

「それまでも何度かテレビの取材を受けたことはありました。でも、この番組の反響はまったく違ったんです。ある意味で、これも“THE CHANGE”ですね。ゴールデンタイムの全国放送ということももちろんですが、やはり動物好きの方が視聴されている番組ですので、ペットの死と向き合った経験のある方が少なからずいらしたんだと思います。

 スタッフの方には長期間にわたり丁寧に取材していただきました。番組では現在の私の活動だけでなく、出家に至る生い立ちを再現VTRにしていただき、約30分にもわたって特集されたんです」

 番組MCの坂上忍自身が積極的に動物保護活動をしていることもあり、番組の作り方にもこだわりが感じられたという。密着取材だけではなく、横田さんが幼い頃に経験した悲しい出来事も取り上げ、ペットも人間と同じように供養してあげたいという思いに至った経緯も紹介された。

「私の人生の節目にはいつも動物の命がありました。子ども頃の経験から動物保護の活動を始め、何度も動物の死と向き合うことになったのです。そして、動物に関わる仕事をしよう、生涯を動物のために捧げようと決めてたんです。いくつかの出来事を経て、僧侶になり、動物の供養をできるようになりました」

 幼い頃に経験したという悲しい出来事とは、どういう体験だったのだろうか?

「私の人生の節目にはいつも動物の命がありました。最初の節目は10歳の時です。実家の縁の下で暮らしていた1歳くらいの猫・ミクが行方不明になったのです。懸命に探しましたが見つかりませんでした。1週間ほどして自力で戻ってきたのですが、心ない人間に虐待されたであろうひどい状態だったのです。必死に介抱しましたが力尽きて死んでしまいました。幼かった私にできることは祈ることだけでした。なんとか助かって欲しいと心の底から祈り続けたら、ミクは最期に目を見開き、私に向かって“ありがとう”と言ってくれたのです」

 しかし、この時に聞いた不思議な言葉のことは、周りの人たちからは理解されなかった。