白塗りメイクで肩には鳥を乗せ、海賊帽子にきらびやかな紫の衣装をまとい、地球儀を激しく回し、国名を全力で叫ぶーー。一度見たら忘れられないうえ、何度も見ても新鮮な感情と愛着が湧き上がる、唯一無二のキャラ芸人「宇宙海賊」ゴー☆ジャスさん。「THE CHANGE」について問うと「まさしくレボ☆リューション! でございます!」と、全力で決め台詞を叫んでくれたのだった。【第1回/全5回】

ゴー☆ジャス 撮影/有坂政晴

  取材場所である芸能事務所サンミュージックの応接室のドアを開けると、思わず「うわあ!」と声をあげてしまった。そこに急に、宇宙海賊が現れたからだ。おそらく、ドアが開くのと同時に即座に立ち上がってくれたのだろう。その派手な衣装とメイクとは似つかわしくないほど律儀に頭を下げるのは、ピン芸人のゴー☆ジャスさん。

  冒頭、「THE CHANGE」というサイト名であることを告げると、さっそく「変化といえば、“キャラ変”ですね」と話しはじめた。

「いま芸歴25年目になるんですが、1年目はなにをやっていいかわからなくて、普通だったんですよ」

ーー普通?

「はい、普通。もともと声優さんになりたかったということもありましたしね。事務所は俳優さんの事務所に入って、俳優さんの事務所なのにお笑いライブがあって、そこで優勝して。一人三役の一人芝居のような、コントのようなネタでした。それで、"あれ? 自分はお笑いのほうが向いているのかな?”と思って、それがいばらの道の始まりみたいなところがありまして……」

本格的にお笑い芸人を志すも、事務所に所属せずフリーを選んだ。そして「実績を積もうと思い」1年間ほどお笑いライブに出演し続けて気付いた。「これはダメだな」と。

「すごくビジュアルがいい男性コンビの人とかがいて、もう最強じゃん! と思って。そういう人がいると僕みたいな“普通”の人は、エンディングでお客さんから“あの人って何やってた人だっけ?”という視線を浴びるんです」

そんな時期に、映画『ベルベット・ゴールドマイン』(1998年)を観た。70年代前半にロンドンを席巻したグラムロックカルチャーにフィーチャーし、奇抜で妖しくもきらびやかな世界観を背景に、当時の若者のハチャメチャな青春を追った作品だ。

「デヴィッド・ボウイがモチーフになった映画で、見たときに“これはお笑いだ!”と思ったんです。それで、着飾ろうと思って」