平成のJ-POPシーンに颯爽と登場し、瞬く間に世間にラップを浸透させたm.c.A・T。ハイトーンボイスから繰り出される『Bomb A Head! 』というフレーズは、令和のミュージックシーンにおいても色あせない。今年でデビュー30年目を迎えたm.c.A・Tの謎に包まれた人生の転機とは? 【第4回/全5回】

m.c.A・T 撮影/三浦龍司

 近年は、楽曲づくりにも変化が訪れているという。

「『Crystal-Rainbow』(23年発売)は自分のなかでも新しい感じのアルバム。以前のアルバムは恋愛を歌っていることが多かった。それまでは、歌詞の中に出てくる主人公がどうしても自分でなきゃいけないみたいに考えていた。だから若い頃、こうだったとか、若い頃の気持ちに戻ってみて歌詞を書くことができなかった。

 ライムスター(ヒップホップグループ・89年から活動)の宇多丸さんが『Crystal-Rainbow』を聞いてくれて、“歌詞がそれまでの俺が、俺がではなくなって、他人に対して頑張れってちゃんと言っているようになった。これは新しいことですよ”って言われたんですよ(笑)。意識していなかったけれど、確かにそうかなって思って」

 ライブ活動や、アーティストへの楽曲提供以外にも、深夜に行われるクラブのイベントにも精力的に出演している。

「クラブ活動もしていますよ。このあいだも新宿のクラブイベントで、夜中の1時半から6曲歌いました。『ごきげんだぜっ! 』で本編が終わってゼーゼー言いながら一度、ステージから去るんです。でもすぐにMCが“m.c.A・T!”って呼ぶんで最後に『Bomb A Head !』を歌いました。体力的にはきついんですが、お客さんが喜んでくれると嬉しい。身体が言うことをきかなくても、自然に動いちゃうんですよ(笑)。ライブは好きですね」