中森明菜さんの「少女A」で注目を集め、以後、チェッカーズやラッツ&スターのヒット曲の数々、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」など、歴史に残る名曲を多数手がけている作詞家・売野雅勇さん。広告代理店でコピーライターとして働いていた青年が、なぜ、稀代の作詞家になれたのか。売野雅勇さんの「THE CHANGE」に迫る。【第3回/全5回】

売野雅勇 撮影/杉山慶伍

 広告代理店のコピーライターという安定した道を捨て、作詞家に転身した売野さん。「少女A」のヒットを皮切りに、河合奈保子さんや荻野目洋子さん、吉川晃司さん、菊池桃子さんなどの人気アイドルの楽曲群のほか、郷ひろみさんの『2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-』、森口博子さんのデビュー曲でアニメ「機動戦士Zガンダム」主題歌として不動の人気を誇る『水の星へ愛をこめて』など、昭和を彩る幅広いヒット曲を多数手がけている。

「郷ひろみさんには、2~3曲しか書いていないんです。巡り合わせというか、運命なのか、ヒットソングやその人の代表曲になる歌詞を書くことが結構多い気がします。

 僕は、いわゆる歌詞が魔法のように“降ってくる”タイプではありません。それまでの蓄積とひらめきを上手く組みあわせることで、皆さんが面白がってくれることが多いのかなと感じます。