中森明菜さんの「少女A」で注目を集め、以後、チェッカーズやラッツ&スターのヒット曲の数々、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」など、歴史に残る名曲を多数手がけている作詞家・売野雅勇さん。広告代理店でコピーライターとして働いていた青年が、なぜ、稀代の作詞家になれたのか。売野雅勇さんの「THE CHANGE」に迫る。【第5回/全5回】

売野雅勇 撮影/杉山慶伍

 90年代になると、坂本龍一さんや矢沢永吉さんらに歌詞を提供するなど、作詞家としてより一層活躍の幅を広げた売野さん。2002年には、インターネット・ドラマ・サイト「Radiogenic」を主宰し、オーディオ・ドラマを発表するなど創作意欲が尽きることはない。この先取り組んでみたいことを尋ねると、「予定ゼロ」と茶目っ気たっぷりに微笑んだ。

「この先、どうしたいとか、僕にはそういうのがないんです。計画性・ゼロです。というのも、計画すると計画は実行されない。そういう法則があるみたいなんだ、僕の場合ね。過去の経験から学んだというより、性格的なものでしょう。予定を立てるのがとにかく苦手で、1か月先の歯医者の予定すらちゃんと守れない(笑)。束縛される感じが、どうにも苦手みたいです。