舞台を作り上げる「縁の下の力持ち」のタカラジェンヌたち

 上記に加えて、宝塚歌劇団では、組の一員として作品を作り上げる独自のプロセスがあったことも影響しているという。

「宝塚では、主演であるトップさんはまた話が別なんですけど、基本的には、集合日から稽古期間を経て組の一員として作品を完成させていく感じです。

 上級生になると、稽古場で下級生を見て“この子、たぶんこのシーンつかめてないな”とか、“踊りがちょっと周りと合ってないな”とか思ったりする。そこから、気づいた人が下級生を集めて自主稽古を開くんです。上級生や演出家の先生から“この場面の深掘りをお願いします”と指名されるケースもゼロではないですが、基本的にはタカラジェンヌが自分たちで足りない部分に気づいて、それを解決するというスタンスなんです。

 劇団にはそういう縁の下の力持ち的な人がたくさんいらっしゃったんですけど、それが組織においていかに価値のあることかというのは、みなさんあまり自覚しないまま宝塚を卒業することが多い。舞台上でのパフォーマンスだけでなく、組織の一員として支えてきたことは、宝塚を卒業したあとも、とても価値のあることなんだと伝えたいですね」

天真みちる 撮影/川しまゆうこ