小泉孝太郎さんにこれからの理想を尋ねると……

――総理大臣という重圧と激務の中、息子たちの前では弱い部分を見せなかったというのはすごいですね!

「家にいるときでも、父の疲れた姿は見たことないんです。その強さや自分を律しているところは、年を追うごとにすごい人だなと思います」

――最後に、俳優として、また一人の男性として、これからどんな人生を歩んでいきたいですか? 今思う理想像があれば教えてください。

「僕は女性に対してと同じように、人生に対しても理想を作らないんです。芸能界というところが大好きだから、いい意味でこだわりもない。たとえばもし明日から役者の仕事がなくなったとしたら、“じゃあバラエティを全力でやろう!”と心から思えるし、反対にバラエティが全部なくなって、役者の仕事だけになったとしても、それはそれで幸せだと思えるんです。

 この芸能界でこれからどんな自分になるのかな、“小泉孝太郎”ってどうなってくるんだろうというのが僕自身楽しみだし、そこに答えを出すことに今は興味がないんですよ」

小泉孝太郎 撮影/三浦龍司

――この先がどうなるかはわからないけど、自分で自分のこれからが楽しみなんですね。

「そうですね。“10年後は何をして、どんな自分になっているんだろうな”くらいのスタンスなんです。僕は芸能界って、大きなテーマパークみたいに感じるんですよ。“今日はどのアトラクションに乗ろうかな”っていう感じで、これからもそれを楽しむ自分でいたいなと思います」

 インタビュー中、終始笑顔を絶やさず話す小泉さんの姿に、群雄割拠の芸能界を生き抜いてきた理由と術が分かった気がした。そして、機が熟したときにオファーがくるであろう「政治家」役を小泉さんが演じたとき、彼の中にどんな思いが生まれるのか。ぜひその時にまた話を聞いてみたい。

(取材・文/根津香菜子)

こいずみ・こうたろう
1978年7月10日、神奈川県生まれ。2002年にドラマ『初体験』(フジテレビ系)で俳優デビュー。近年の主な出演作に、映画『おしょりん』や、テレビドラマ『下剋上球児』(TBS系)、連続ドラマW『フィクサー』シリーズ、NHK大河ドラマ鎌倉殿の13人』など多数。また、『モニタリング』(TBS系)や『よじごじDays』(テレビ東京)のMCも務める。最新出演作に日曜劇場『ブラックペアン2』(TBS系)、ドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』(テレビ東京)、映画『愛に乱暴』。

『愛に乱暴』
森ガキ侑大監督・脚本。山﨑佐保子/鈴木史子脚本。吉田修一『愛に乱暴』(新潮文庫)原作。江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみか風吹ジュンら出演。8月30日(金)公開。105分。
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