ギターの個体差を知りたくて実際に買って弾き比べる

 いま、何本ギターを所有しているか定かじゃありませんが、仮に700本持っているとして、それは単なるコレクションではありません。たとえば、ギブソン社の1959年製レスポールはエレキギターの最高峰のひとつと言われますが、いわゆる“ドンズバ”な音のものもあれば、少し外れた音が鳴る個体もあります。1つ1つの違いを確かめるには、実際に所有して弾き比べるのが一番いいじゃないですか。

 また、ギターの歴史もすごく興味があるので、1940年代のフェンダー社のギターに台帳が付いてくると聞いて、その台帳欲しさにギターを“おまけ”で購入したことも。その台帳を眺めていると、いつどこでパーツを買い付けたかが分かり、時代ごとのパーツの変遷が見えてくるんです。おもしろいですよ」

野村義男 撮影/冨田望

  自宅ではたくさんあるパーツを組み合わせ、オリジナルのギターを制作することもあるという。これだけギター漬けの日々を過ごしていたら、他のことに関わる時間はなさそうだ。このインタビューの初めのころ、ぽろりと「ギターにしか興味がないんです」とこぼした野村さん。話を聞けば聞くほど、その真の意味が見えてきた気がした。