「“これもダメだったか……”と思って帰ろうとしたときに、呼び戻されたんです」
「"この先、俳優以外の道を考えなきゃいけない時期なのかな”と、俳優としてのリミットを感じながら、“とにかく行ってみよう!”と、なかば開き直って参加したオーディションでした。審査が終わって、何事もなくて。“これもダメだったか……”と思って帰ろうとしたときに、呼び戻されたんです。“もう1回、見せてくれないか”と言われて。そこに松山ケンイチくんもいました」
2度目の審査を終え帰路につきながら「なんで呼び戻されたんだろう」と不思議に思っていると、後日、オーディション通過の連絡があったのだ。
「“受かりました!”と言われて。そのときに、“受かるということは、まだ辞めちゃいけないのかな”と思って。生かされた感覚でしたね」
ーー大きな岐路でしたね。
「そうですね。あとで聞くと、うちの親は僕が俳優を続けるとは思っていなかったそうです」
ーー渡辺謙さんに進路の相談もしていたんですか?
「まったくしてないです。親も親で慌ただしく、自分のことで精一杯の時期だったので。でも、僕はみんなとわいわいやる気質の人だと思われていたので、“大きい組織の中に入るのかな”と思っていたそうです。まさかこんなふうに、ひとりでやっていくとは思っていなかったと」
それまでのオーディションとちがったのは「振り切らないとダメなんだ」と覚悟を持って挑んだこと。なりふりかまわず必死に手を伸ばしたからこそ、掴み取れたのかもしれない。
わたなべ・だい
1984年8月1日生まれ、東京都出身。2002年、父・渡辺謙の青年役で『壬生義士伝~新選組でいちばん強かった男~』(テレビ東京系)でデビュー。以降、ドラマ、映画にて現代劇から時代劇までコンスタントに出演を重ねる。2018年、映画『ウスケボーイ』でマドリード国際映画祭・アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭にて最優秀主演男優賞を受賞。今年は『大岡越前7』(NHK BS)、『笑うマトリョーシカ』(TBS系)、『さすらい署長風間昭平SP とやま庄川峡殺人事件』(テレビ東京系)に出演。10月4日より舞台『罠』、11月22日より映画『六人の嘘つきな大学生』、25年1月10日より映画『シンペイ〜歌こそすべて』の公開が控える。
舞台『罠』
作:ロベール・トマ
翻訳:平田綾子
演出:深作健太
出演:上川隆也 藤原紀香 渡辺 大 財木琢磨 藤本隆宏 凰稀かなめ
公式サイト:https://wana-ntv.jp
公式Xアカウント:@wana_ntv
映画『六人の嘘つきな大学生』
11月22日より全国公開予定
映画『シンペイ~歌こそすべて』
11月22日、長野県にて先行公開
2025年1月10日より全国公開