リキんでしまった夏場所の反省し秋場所は快進撃!

若い力士たちの騎馬に乗る大の里

 2023年5月のデビューから、わずか9場所(1年半)。今年初場所の新入幕から5場所での大関昇進は、史上1位というスピード出世だ。

 大物の片鱗を見せ付けたのは、今年5月の夏場所。小結で12勝3敗の優勝を果たしたのだが、対戦相手に取り口を研究されたこともあって、翌名古屋場所は9勝(6敗)止まりに終わった。

「名古屋場所は、(大関昇進などの)先のことを考え過ぎて、リキんでしまいました。だから、(8月の)夏巡業はやるべきことをしっかりやって、秋場所に臨みたい」
 と、巡業中に語っていた大の里。

 こうして臨んだ9月の秋場所初日は、若手・伸び盛りの熱海富士との対戦が組まれた。

 熱海富士を攻め込みながらも、相手の粘りにあって、大の里は土俵際で棒立ちになるピンチに立ったものの、左足1本で残して叩きを見せる。

 この微妙な一番に、審判団から物言いが付いたのだが、軍配どおり叩き込みで大の里の勝利となった。この白星は大きかった。先場所の初日は、大関経験者の御嶽海に敗戦。翌日も黒星で、4日目を終えて1勝3敗となり、スタートダッシュに失敗したことも、好成績に結びつかなかった原因だった。

 その後は、翔猿、王鵬、大栄翔、隆の勝と勝ち込んで5連勝。6日目の相手は正代。元大関の実力者を寄せ付けないおっつけを繰り出して、わずか2秒余りで勝負を付けた。

 自身、「改心の一番」に勝利した大の里はさらに勢いに乗る。

 8日目は、先場所敗れている御嶽海戦。モロ手突きから先手を取って攻めた後、相手を引いて崩すという考えた相撲で、押し出しの勝利。幕内でただ1人、ストレートの勝ち越しを決めて、後半戦に臨むことになった。