いわゆる、天然の人のほうが相性がいいのかな

 自分に合った相方を自ら探して、ツッコミをするーー芝さんは一度もやったことがないことを求め、「とにかく“ツッコミ代(しろ)”がありそうな人。生きているだけで、どこからしらツッコミたくなるタイプの人」を探しはじめた。

「いわゆる、天然の人のほうが相性がいいのかな、と思いました。ただ、どこで見つけていいのかわからなくて、一度だけ飲んだことがあった中野でライブをやっている主催者の方に連絡して、“ライブを観に行かせてもらっていいですか”と言って行ったところに、ともしげが出ていたんですよ」

 だが、その日は存在を認識しただけ。次に芝さんが観にいったときには、ともしげさんはコンビを解散して、客席でライブを観ていたという。初めて話したのは、その日の夜に主催者から誘われたライブ後の飲み会だった。

ーーともしげさんの印象はいかがでしたか?

「すごく苦しそうにネタをやるな、という印象でしたね。ボケをやっていて、お客さんはウケていないけど、なんとなく袖が笑っているな、というのは感じました。なんだか“本来はこういう人ではないんだろうな”と思いました・率直に、気になりましたね」

芝大輔 撮影/松野葉子

 ともしげさんが気になっていた芝さんは、飲み会中、ともしげさんの動向を追った。

「観察していると、手元をちゃんと見ずにメシを食ったり、まわりもそれを見てワーッとなっていて、“いいかもなあ”くらいに思っていました」

 その後芝さんは、先輩から紹介された新たな相方とコンビを組んだ。が、「全然しっくりこなくて、すぐに解散した」という。ともしげさんは、そんな芝さんを「待っていてくれた」というのだ。

ともしげ「僕は芝くんよりも解散回数が多くて、芝くんとは逆で、自分から"組んでください”とお願いしたことしかなくて。ピンでやるのは絶対に無理だなと思っていたので、組んでくれる人を探すために養成所に2年通っていたんです」

「だからまあ、とにかく目の前に来たら誰でも飛びつくくらいの感じで。そのときは、僕に声をかけている人がいるのはわかっていながら、”可能性があれば”という感じで待っていてくれたんです。その後2人で会ったら、もうそのときから自分の中ではほぼほぼ決まっていた感じが、いま思えばありましたね。それで“2人でやりましょうか”となったのが、2008年の終わりくらいでした」