渋い表情で決めると迫力満点の強面なのに、ニコッと笑うと誰もが「エンケンさん!」と声をかけたくなる俳優、遠藤憲一。多面的な魅力を縦横無尽に使い分ける彼が現在取り組んでいるのは、心と身体が“全国民”と入れ替わってしまう、総理大臣・武藤泰山役だ。9年前の2015年に放送されて大人気となった『民王』(テレビ朝日系)の続編『民王R Inspired by 池井戸潤』に挑んでいる、遠藤憲一のTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】
2015年に放送されたドラマ『民王』は、総理大臣・武藤泰山と、その息子・翔の、心と身体が入れ替わってしまうという奇想天外なストーリーと、演技派俳優たちの熱演で大反響を呼び、「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」や「ギャラクシー賞」などを受賞した。
この作品で、“身体はおバカで気弱な大学生、心はワニ顔のおじさん総理”という難役を演じたのが、遠藤憲一だ。
あれから9年。ふたたび、泰山総理が帰ってきた!
「1年くらい前に続編のお話しをいただいて、それから次に“続編は毎話別の人と入れ替わる”と聞いて“おもしろそうだな”とワクワクし、実際に撮影に入ったら四苦八苦の連続です」
そう、今回の入れ替わり対象は、なんと全国民。
全国民……?
「はい、下は5歳の子どもから、上はおばあちゃんまで(笑)」
前作では、息子・翔の言動をコミカルに再現して話題をさらったが、毎回異なる人物と入れ替わるというのは、俳優として40年を超えるキャリアを持つ遠藤もアプローチの方法を試行錯誤したという。「入れ替わる対象の俳優さんと事前に本読みをして、口調とか雰囲気をつかむ作業をしました。ただ、若い男性が入れ替わる対象だと、前回の翔に近くなっちゃうのが困りましたね。どうしても気弱な青年になっちゃう(笑)。役者としての引き出しの多さが求められる作品で、もはや引き出しの奥の奥を探ってますね」