昨年秋場所途中で現役を引退。175センチ、165キロの小柄な体で、2018年九州場所、小結で初優勝。得意の突き押し相撲を磨き、大関昇進後も優勝を重ねた貴景勝。引退後は年寄・湊川を襲名し、NHK大相撲解説も好評の親方の「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全4回】
1月12日から始まっている大相撲初場所は、15日間チケットが完売して、連日、満員御礼。
大関陣(琴櫻、豊昇龍、大の里)のしのぎ合いが話題を呼んでいるが、こうした熱戦を花道の奥から見守っているのが、湊川親方だ。
「(引退してからは)土俵を客観的に見れている」と語る親方は、昨年九州場所中のNHK大相撲中継で、初めての解説を担当。
現役時代の寡黙な印象からは打って変わって、柔和な語り口で、みずからの相撲人生や、力士たちの素顔を語る姿は、「現役時代とはまるで、別人みたい」「貴景勝って、あんなによくしゃべるの?」などと、話題と驚きを呼んだ。
現在は、所属の常盤山部屋付きの親方として、若い力士の指導をしているほか、相撲協会の警備担当として、土俵まわりの警備業務を務めている。
さて、湊川親方こと佐藤貴信少年が相撲を始めたのは、小学生の頃。地元の相撲教室に通い、4年生からは、父と一緒に貴乃花親方(当時=元横綱・貴乃花)が主催する東京の少年相撲教室「キッズ貴乃花」に参加。平成の名横綱から、直接指導を受ける機会を得た。
そうした指導の成果が出て、小学4年生から6年生までは、「わんぱく相撲全国大会」で入賞する活躍を見せる。
小学校卒業後は、兵庫県内の報徳学園相撲部に入部。3年時は、全中(全国中学校相撲選手権)で優勝するなど、一躍注目される選手となった。
「(貴乃花親方に憧れていたので)中学を卒業してすぐに、貴乃花部屋に入門しようと思っていたんです。ところが、埼玉栄高の山田(道記)監督から、“プロに行きたかったら、ウチに来なさい”と熱く誘っていただき、お世話になることしたんです」