ギリシャ悲劇の最高傑作、『オイディプス王』が再演される。人生の不条理をドラマティックに描くこの作品に挑む三浦涼介さん。初演で圧倒的な表現力が絶賛された三浦さんの再演への思いとはーー。また、今では多くの舞台に出演する三浦さんも「自分が演じる意味」を見い出しきれない時期があったという。様々な人や作品との出会いで変化と成長をつかんだ三浦さんの今とこれまでを聞いた。【第1回/全3回】

三浦涼介 撮影/三浦龍司 ヘアメイク/春山聡子、スタイリング/ゴウダアツコ

「ギリシャ悲劇」の最高峰といわれる『オイディプス王』が約1年半ぶりに再演される。前作同様オイディプス王を演じるのは三浦涼介さん。「初演を振り返ると?」と尋ねると率直な答えが返ってきた。

「もう振り返るんだ、という感じです(笑)。正直、こんなに早く再演するんだ、という気持ちですね。ただ、上演までまだ少し時間はありますが、もう既にオイディプスモードには入っています。前回の台本を開いて、日々格闘してるような感覚です。

 初演のときは膨大なセリフ量や、その世界観にちょっとネガティブな思いも多少なりともあったんですが、今回あらためて台本を開いたときに、“これを自分が一度やったのか”という驚きとともに、あの日、あの場所で、オイディプス王としてステージに立たせてもらって千秋楽を迎えたことが、すごく誇らしいなと思い返すことができました。またあらためてオイディプス王として生きることができるのが楽しみです」

 紀元前から2500年にわたり観客を惹きつける『オイディプス王』。この世界観にどう向き合ってきたのだろう。

「“ギリシャ悲劇”といわれる作品をそれまでほとんど観たことはなかったんですが、一度だけ、幼い頃に平幹二朗さんが演じられている悲劇を観させていただいたことがあって、そのときの印象がものすごく強いんです」