大事な人が病と闘っているとき、周囲の人ができること
「見てみぬふりはしたくないというか。病気もそうだけど、なかったことにはできないじゃないですか。そのうえで、いままでと変わらない接し方をしてくれると、嬉しい気持ちになります。お互いにとって初めて経験することだからこそ、必要以上に病人扱いされると、かえって悲しい気持ちになるというか。
病気に対して自分を奮い立たせているときに、“もう休めば”というねぎらいの言葉が、私にはしっくりこないのかもしれません。以前、ホノルルマラソンに参加したとき、走り始めてまだ1キロメートルのところで、沿道から“ゴールはすぐそこだよ!”って、声をかけてくれた人がいたんです。それを聞いて、残りの40キロメートルを頑張れそうだなって力が湧いてきたんです。だから、“早く治療が終わるといいね”とか、先が見える前向きでシンプルな言葉が私は嬉しいかな」
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「日々、こうして何気ない言葉に傷つけられたり、励まされています。母からは“泣きながらやるくらいなら、Instagramをやめちゃいなさい”って、言われたこともありますが(笑)、SNSは私の心の支え、糧にもなっているので続けたいですね。
人はひとりでは生きていけないし、支え合っていくもの。でも、何をどう克服するかを最後に決めるのは自分で、楽しい方へ持っていくか、暗いまま何もしないかを選ぶのも自分です。それは親や兄弟、パートナーにも手出しができない領域なんですよね。心の状態をよくするのもダメにするのも自分だから、自分に本当の力をつけないといけないなって、いま改めて感じています。何歳まで……、80か90か100、どこまで生きるかは分からないけど、50歳から先の人生をもっと意味あるものにしていきたいなと思っているところなんです」
開拓者は、道なき道を進み、その後に道ができる。梅宮アンナという人は、そうしたフロンティアスピリッツを生まれながらにして備えているのかもしれない。彼女がこの先どんな道を切り開くのか、その一挙手一投足から、これからも目が離せそうにない。
梅宮アンナ(うめみや・あんな)
1972年8月20日生まれ、東京都出身。1990年代以降、ファッション誌『JJ』のモデルとして活躍し、テレビを中心にタレントとしても注目を集める。俳優・梅宮辰夫とアメリカ出身の元モデル・クラウディアの娘として知られ、その個性あふれる発言や包み隠さないスタイルで話題に。2024年には浸潤性小葉がんのり患を公表し、思いや経験を積極的に発信。現在はメディア出演や執筆活動を中心に活動。一貫した信念を持ち続けて歩み続ける姿勢が、多くの共感と支持を得ている。