「勝った、負けたを繰り返して」

「オリンピック出場を目指して、ポイントを稼がなくてはならない年があって。その頃は、自分の中でずっとプレッシャーがあったなというのは覚えています。
 当時、パシフィック選手権っていうのがあって、そこで切符を取らないと、もうオリンピックの道は断たれるという状態のときに、カーリングを夢に見ましたね。“勝った、負けた、勝った、負けた”っていうのを毎日、夢の中で繰り返して。
 現実で、その大会で勝てたときに、すっごいうれしかったのは覚えていますね。それが確かニュージーランドでの大会だったと思うんですけど、雄大なというか、何にもないところで、大きな一軒家でチームの仲間と過ごしたんですけど、その光景をすごい印象的に覚えていて。
 試合と試合の間に、チームで庭に出て、お日様を浴びながら、ゆっくりしている時間とか、たまに自分の中でポッと思い出したり、しますね。ピリピリしている中の、束の間の休憩みたいな感じだったなって」
 夢にまで出てくるような厳しい勝負の世界から、現在は離れた場所にいる市川さん。
「選手よりも、今のこの解説という仕事のほうが私には合ってるなって思います。選手として輝くタイプというよりも、人々に解説を通じてカーリング競技を伝えていく仕事が今、面白いなって感じてます。カーリングの伝道師? なれればいいですね」
 競技者としてカーリングからは離れた一方で、現役時代から続けていることの一つに、ピラティスがある。