1995年にお笑いコンビ「ガレッジセール」を結成してから30周年を数えるゴリには、2006年にスタートさせた映画監督としての顔もある。こちらも実にキャリア20年目。奥田瑛二を主演に迎えた長編『洗骨』(2019)では、第60回日本映画監督協会新人賞に輝くなど、国内外で高い評価を得てきた。あるときはお笑い芸人、あるときは才能豊かな映画監督。運動神経バツグンでキュートなゴリエちゃんも忘れちゃいけない。さまざまな顔を持つゴリさんのTHE CHANGEとは──。【第4回/全5回】

妻の死を受け入れられずにいる父のもとに集まった家族が、沖縄の島に残る風習を通じて、再生していく姿を見つめた映画『洗骨』から6年。照屋監督名義では長編2作目となる『かなさんどー』が公開中だ。妻・町子(堀内敬子)を失い、年齢を重ねるにつれ認知症が進む父・悟(浅野忠信)の命が危ないと知らせを受けた、娘の美花(松田るか)が、故郷の沖縄県伊江島に帰ってくる。
2作ともに沖縄を舞台に、家族、そして“死”を見つめている。
「気持ちよく死ねる人なんて、なかなかいない気がします。病気がわかって、“もっとああしておけばよかった”と後悔したり、歳をとって、どんどん体が動かなくなっていったり。あの人とこんな話をしておけばよかったとか、謝っておけばよかったとか。あのとき、もしできていたら今仲良くなれていたかも、あのとき動いていたら、いま夢をつかめていたかも……。いろいろな後悔があると思う。
でも同時に、“死”があるからこそ、許しがあったり、こだわっていたことから解放される瞬間もあるとも思う。“死”を意識することで、“こうしておけばよかった”から動くことだってできるかもしれない。そうしたいろいろを表現したくて、“死”をテーマにした作品が続きました。というのも、そもそも僕自身が毎日“死”を意識しながら生きていることが大きいと思います」