『エリザベート』、『モーツァルト!』など数々の名作に出演するミュージカル界のトップ俳優であり、多くのテレビドラマに出演。音楽番組やバラエティ番組でも活躍を見せる山崎育三郎さん。彼が長年抱いていた「日本のオリジナルミュージカルの制作」という夢を実現させる日がやってくる。12歳でミュージカルデビューを果たし、その後29歳で迎えた大きな転機。ミュージカル界とテレビメディアの橋渡し役として果たしてきた役割や、『昭和元禄落語心中』における「助六」という役との出会いなど、チャレンジングな日々を力強く、そして軽やかに語ってくれた。【第3回/全4回】

山崎育三郎 撮影/三浦龍司

 ミュージカルスターとして、さらにはドラマやバラエティ番組への出演など幅広い活躍を見せる山崎育三郎さん。着実にキャリアを重ねてきたようにみえるが、20代の終わりに思いもよらぬ「CHANGE」が襲うことになる。

「僕にとっての“CHANGE”は29歳のときですね。それまで所属していた事務所が倒産してなくなったんです。それをきっかけに、一回ひとりでやってみようと、携帯2台持ってマネージャー業務も兼任してやったり……そういう時期を過ごして、何か違う次の目標を決めたいという思いも抱えていた中で、今の事務所との出会いがあって、テレビの世界にも入っていくんですが、やっぱりそこがやっぱりターニングポイントだったと思います」

 2015年のドラマ『THE LAST COP』(日本テレビ系)や、『下町ロケット』(TBS系)など、映像作品への出演も重ねていった。

「いまの事務所と出会いがなければ、映像にチャレンジしよう、ということにはならなかったかもしれません。当時(ミュージカル界には)そういう流れはなかったんですよね。実際映像に行くことにはかなり反対の意見もありましたし、否定的な声も多かったです。