「反対の声は大きいけど、だからこそ行ってみよう」

 でも僕は反対の意見があることにしか、大きなものは生まれないと思ってるんです。みんなが“いいよ”というところには何も生まれないと思っていて……それはアメリカの留学時代の経験が影響した考え方なんですけど、それをがずっとあるので、その時も反対の声は大きいけど、だからこそ行ってみよう、と」

 その一歩を踏み込んだことで、大河ドラマ『西郷どん』にも出演を果たした。さらには憧れの作品にも到達する。

「憧れだったディズニー作品『美女と野獣』の吹き替えをさせていただいたのは大きかったですね。そして、大河ドラマや朝ドラ、さらには『紅白歌合戦』にも出演させていただいたり、本当に夢のような時間をたくさん過ごさせていただいて、そこから自分を知ってくださった方が今度はミュージカルに足を運ぶという流れも生まれて。本当に大きく変化しました」

 当時、数多くの音楽番組やバラエティ番組にも出演。そこには強い思いがあったという。

「一番はミュージカルを支えてる魅力的な人たちを多くの人に知ってもらいたいという思いがあり、今じゃ当たり前のようにできたミュージカルコーナーを作っていただくようにお願いしてたんです。それが少しずつ大きくなって、当たり前のようになっていった。これは本当に嬉しかったです」

 2020年のNHK朝ドラ『エール』では、山崎育三郎さんだけでなく、今回ミュージカル『昭和元禄落語心中』でも共演する古川雄大さんなど、数多くのミュージカル俳優も出演。この頃から多くの音楽番組でもミュージカル界の実力者や若手注目俳優の姿を見ることが増えた。

「以前は“ミュージカル俳優は認知度がないから難しい”ということを言われたんですよね。でもそれを変えたいという思いはずっとあったので、とにかく全国の人に知ってもらおうという思いで、バラエティも何百本って出ましたし、できる限り打席に立とうと、そういう思いで駆け抜けた30代でした」

山崎育三郎 撮影/三浦龍司

やまざき・いくさぶろう
1986年1月18日生。98年にアルゴミュージカル『フラワー』で主演に抜擢される。その後、07年『レ・ミゼラブル』にマリウス役で出演。11年4月には『モーツァルト!』での演技を評価され第36回菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞した。映像作品でも活躍を重ねており、2015年『下町ロケット』や20年のNHK連続テレビ小説『エール!』や21年の大河ドラマ『青天を衝け』、トークバラエティ番組『おしゃれクリップ』MCなど。最新出演舞台に、ミュージカル『昭和元禄落語心中』。

ミュージカル『昭和元禄落語心中』
東京公演:東急シアターオーブ
2月28日(金)~3月22日(土)
問い合わせ:梅田芸術劇場(10:00~18:00)【東京】0570-077-039

大阪公演:フェスティバルホール
3月29日(土)~4月7日(月)
問い合わせ:梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00)

福岡公演:福岡市民ホール・大ホール
4月14日(月)~4月23日(水)
問い合わせ:博多座 電話番号:092-263-5555(10:00~17:00)

公式サイト:https://rakugoshinju-musical.jp/