「絶対に俳優で食べていく」という気負いよりもワクワクの方が勝っていた
──レッスンなどに通っていて、すでに完成されている方もいたと思います。そういった人たちとの合宿審査は、精神的にも厳しかったのではないかと思いますが、見事、デビューにいたりました。
「そこで自分も食らいついていかなければいけなかったわけですけど、僕は地元がとっても好きなので、“これがダメだったら帰ればいい”みたいな気持ちが、正直あったと思います。
“絶対に俳優で食べていくんだ!”というような気負いより、“ワンチャンあるかな?”みたいなワクワク感が強かったです。それに変な自信があったんです。学生のときって、根拠のない自信みたいなものがあったりしません? “絶対受かるから大丈夫”と、なぜか思っていました」
──そうなんですね。
「事務所への所属が決まり、北海道で高校を卒業してから上京しました。でも上京してからオーディションに受からない日々が、3年くらい続くことになったんです。“え? 思ってたのと違う”と(苦笑)」
ひょんなことから大手事務所のオーディションを受け、見事合格して芸能界デビューを果たした金子さん。北海道から上京するも、その後、作品オーディションになかなか受からない日々が続くことに。しかしこうした“悔しい”思いも、俳優としての“表現”につながると金子さんは語る。

かねこ・だいち
1996年9月26生まれ、北海道出身。「アミューズオーディションフェス2014」にて俳優・モデル部門を受賞しデビュー。以降、映画・ドラマ・CMに多数出演し、2018年の、ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)への出演で、ドラマ自体の人気とともに、自身の人気にも火がつく。翌年にはNHKのドラマ『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK総合)で初主演を果たし、同作品で第16回コンフィデンスアワード・ドラマ賞・新人賞を受賞し、高い評価を得た。主な出演作に映画『殺さない彼と死なない彼女』(2019)『猿楽町で会いましょう』(2021)『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(2021)『サマーフィルムにのって』(2021)ROMAN PORNO NOWW『手』(2022)『ナミビアの砂漠』(2024)などがある。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』『育休刑事』(NHK)『晩餐ブルース』(2025)など。