この世界でチャレンジしてみようと思えた理由
演技経験のなかった石黒さんが俳優の仕事に強く惹かれていった理由は、別にあった。
「それまで僕はずっとテニスばかりをやっていました。テニスは個人競技なので、頑張ってもサボってっも全部、試合の結果として自分に返ってくる。誰にも頼れない。そんな世界でずっとやってきた人間にとって、ドラマの撮影というのは新鮮でした。俳優がいて、撮影するキャメラマンがいて、照明さんがいて、セリフを録ってくれる音声録音部さんがいて、衣装さん、メイクさん、美術さん、そして監督──そういったスタッフが一つの作品を作るためにみんなで向かっていく。そういうチームプレイなんです。みんなで作品を作り上げていく、そこに魅力を感じたんです。高校3年生の私には非常に面白く見えたんですね。またこの世界でチャレンジしてみようと思えたんです」

本作は、TBSの金曜夜8時の枠で放送された。同枠は『3年B組金八先生』の時間帯だけに、多くの注目を集めた。ヒロイン・夏子を二谷友里恵、その友人の祐子を川上麻衣子が演じた。オープニングには松田聖子の『蒼いフォトグラフ』が使用されている。そして、ドラマの最終回の撮影で石黒さんは衝撃的な体験をした。