お笑い好きや同業者から“天才”と評されていたものの、地下活動歴は約35年。唯一無二のエピソードトークで聴く者を惹きつけてやまないピン芸人・チャンス大城さん。昨年はついにRー1グランプリで決勝のステージを踏み話題となった。4月18日には初の怪談本『チャンス大城の霊怖 人怖』(ヨシモトブックス)を上梓するなど幅広い活躍を見せている。一筋縄ではいかないだろうチャンス大城さんのTHE CHANGEとは。【第5回/全5回】

チャンス大城 撮影/有坂政晴

 筆者がチャンス大城さんの存在を知ったのは、2010年代前半の頃だった。大阪・西成の映画館でバイトをしていたときのエピソードを舞台で話し、独特の視点で語られるあまりにもハードかつ滑稽なエピソードに笑いが止まらなかった。なぜもっと多くの人の前に出ないのだろうと思ったが、テレビでは放送できないエピソードだからだろう。

「テレビでできない話ばっかですからね。山に埋められた話も地下ライブでは散々喋ってて、地下ファンは“それはもういいよ”みたいなレベルなんです。だからどんどん過激になっていくんですよ。大仁田厚さんの気持ちがすげーわかるんですよ。ほかのプロレス団体とどう差別化を図ろうか、で、電流爆破じゃないですか。僕らも普通にしてたらお客さん来ないから。事務所にも入ってない連中が集まって、普通に“コント! コンビニ!”なんてやっても誰もこないですよ。よっぽどのことしないと」

 気づくとチャンス大城さんは、宗教団体8団体に入信していた。

「父親に言われました、女と宗教はかけもちすんなって。いろんな宗教団体の漫談やったり。ホームレスの人と2週間一緒にいた漫談したり。でも、個人的にそういうのが根っから好きなんですよ」

 2017年、「山に埋められた話」は『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)でついにテレビ解禁され、自身の知名度もたちまち全国区となった。だが、当時はまだアルバイトが欠かせなかったという。