樹木希林さんは「お芝居にとても厳しい方だったと思います」
――監督に言われたことで、覚えていることを何かひとつ教えていただけますか。
「素朴なところがいいとおっしゃってくださったと思います。“普通の感じがいい”と。市川さんは、何かを繕うというのが嫌いな方でした。お化粧でも嫌がるような方でしたから。心を含めて、“素顔”が好きなところのある監督だったと思います」
――樹木さんとのお仕事はいかがでしたか？ 樹木さんとは「ほんだし」もですが、富士フイルムの「写ルンです」のＣＭでの共演も人気でした。
「お芝居にとても厳しい方だったと思います。ご自身で何度も練習されていましたし、いろんなことを考えられていて、現場でも“希林さんに任せれば大丈夫”といった感じがありました。本当にいろんなボールを投げてくださるので、それを一生懸命受けていく感じでした」
――キャリアの早い時期から樹木さんとご一緒できたことで、いい影響を受けられたかもしれませんね」
「そうですね。カットがかかるまで、本当に油断ができませんでした。たくさんお仕事させていただいて、とても貴重でした」
樹木希林さんも田中さん、ともに心を含めた“素顔”を感じさせる女優さんだ。
たなか・れな
１９８０年５月２２日生まれ、福岡県出身。高校在学中の１９９８年に映画『がんばっていきまっしょい』で映画初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ国内の新人賞を多数受賞。その後、映画『はつ恋』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝くなど、キャリア初期から高い注目を浴びる。初代キャラクターを務めたサントリーのジュースＣＭ「なっちゃん」シリーズも大変な人気を博した。２０１７年公開の『幼な子われらに生まれ』でも多数の女優賞を受賞。近年は映画『福田村事件』、ドラマ『神の子はつぶやく』など、メッセージ性の強い作品での評価も高い。ほか主な出演作に映画『東京マリーゴールド』『山桜』『葛城事件』、ドラマ『徒歩７分』『いちばんすきな花』『ＶＲおじさんの初恋』、配信ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』、ＮＨＫ連続テレビ小説『ブギウギ』など。最新作は短編映画『名前、呼んでほしい』。映画『雪風 ＹＵＫＩＫＡＺＥ』の公開が８月１５日に控える。
東京予報 －映画監督外山文治短編作品集－『名前、呼んでほしい』
監督・製作・脚本：外山文治
出演：田中麗奈、遠藤雄弥、関幸治、太宰美緒、田口智也
