女性は褒められないことに慣れている

 あゆみは偶然出会った営業マンの草壁に魅かれ、一線を越えてしまう。一方、夫の龍馬は東京に出稼ぎに行った先で幼馴染の千尋に偶然再会し……。やがて二人には離婚危機が訪れるのだが、完成した本編を観た東さんの感想はーー。

「最初の台本では夫が幼馴染と再会して深い関係になっていく……というくだりがあったんですけど、完成版にはそれが無くて。私もそこはいらないと思っていたんです。男の身勝手さが出ているなと感じたので。でも、そこがなくて最終的には対等でフラットな関係になって、これからは良いパートナーになる……という含みがあって、すごくリアルな話だなって思いました」

──龍馬の「男は色々褒めてもらいたいんだよ」というセリフが印象に残りました。

「そういう男性って少なくないですよね。この映画の龍馬みたいに口にしないだけで、褒めてもらいたい人がいっぱいいると普段から感じています。というか、女性は褒められないことに慣れているんです。要するに女性は家事や育児をやって当然だと思われてきて、それ以上にやると出しゃばっているとか強いとか言われてきたんです」

──なんだか昭和ですね。

「そう。だけどこの令和の時代になっても、昭和って結構引きずっているから、今も芸能界での問題が噴出しています。女はやっぱりとても理不尽な立場にいて、我慢しないと不利益を被るから耐えてきた。現代の社会ではそうじゃなくなってきていますよね。私たち女性の権利や人権を大切にしようっていう考えになってきたし、時代もアップデートしています。でも、男性のアップデートぶりはずいぶん遅いなって思っているんです。男性が追いついていないと思うんです」