今のものまね番組に思うこと
――ものまねの番組はいまも続いていますし、いろんな若手のタレントさんもいます。どんな風に見られていますか?
「歌はうまいなぁと思って見てます」
――歌“は”うまいなあ、ですか?
「似てるな、うまいなとは思います。でもおもしろみはないなと。“おもしろみ”って、いま、テレビ全体とか、いろいろと制限があるんですけどね。でもものまねというのは、似顔絵と一緒で、やっぱり誇張された部分があるからものまねなんだと、自分は思うんですよ」

――たしかに。
「そっくりにするから偉いみたいなことを煽るような番組が多い気がするんです。どことは言いませんが。“そっくりですね”“歌、うまいね”って。たしかに、そうかもしれませんけど、そこを褒められてもね。“じゃあ、CDでいいじゃん”って、自分なんかは思っちゃう。その子たちがディナーショーしたら、何万も払って1時間半そっくりな歌を聞かされるわけですよね。それはただのニセモノなんじゃないかなと。“楽しいのかなぁ”って思っちゃうんです」
――“おもしろみ”がない、と。
「芸能だから。これを言うと、“うるせえ、ジジイ”と言われるけどね。僕は、そう思っていて、魅せるパフォーマンスが必要なんじゃないか。やっぱりエンターテインメントですから。笑っていただいてナンボ。ものまねって、クジラとかの巨大魚のケツに、イワシとかの小魚が一生懸命くっついてるのがおもしろいわけで、クジラとシャチがそっくりだろってやってても、何もおもしろくないんですよ」
――ああ、イメージが沸きます。
「あと、お笑いの人のものまねをするのもなんだかね。おもしろいんだけど。でもなんて言うのかな、共食いになっちゃいけないと思うんです。大物ならいいんですよ。小物をまねしちゃうと、イワシがアジを追いかけてるような話になるとおもしろくないかなって。ただ、いまって大きな魚が少なくなっちゃったから」
――そうかもしれません。
「昔は北島三郎さんとか、五木ひろしさんとか、石原裕次郎さんとか、美空ひばりさんとか。どうだ!っていうスターがいましたからね。それが分散化されちゃって。いろんなグループになりすぎているというか。ものまねもしづらいなとは思います」