明治大学在学中より映画製作を始め、数々の映画を世に放ち“バカ映画の巨匠”と呼ばれる河崎実さん。彼の人生の原点である「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全2回】

僕は“バカ映画の巨匠”と呼ばれています。 映画監督として、いつもふざけていたい。怒られるような作品を撮りたいんです。
たとえば、モト冬樹さんがカツラを投げて悪と戦う『ヅラ刑事』(2006年)とか、ライオンとヒョウに襲われた松島トモ子さんがサメと対決する『サメ遊戯』 (24年)とかね。
『飛び出せ!全裸学園』(1995年)という、まさに「いい加減にしろ!」と怒られるために作ったような作品もありました。
監督として僕のベースになっているものは、子供の頃に見たもの、経験したものです。
なにしろ僕はアニメの『鉄腕アトム』 (フジテレビ系)、 『鉄人28号』(フジテレビ系)、『エイトマン』(TBS系)の第一話を見ていますから。日本のオタク文化の始まりを体験しているんです。そのあと、『オバケのQ太郎』(TBS系)がブームになりました。そして『ウルトラマン』(TBS系)ですよ。
これが最高に面白かった。円谷プロの特撮に引き込まれました。続いて『ウルトラセブン』(TBS系)。『巨人の星』(日本テレビ系)、『タイガーマスク』(日本テレビ系)と梶原一騎作品からも影響を受けましたね。ほかにも、森田健作さんの『おれは男だ!』(日本テレビ系)など青春ドラマも大好きですね。
映画の原体験は、渋谷の二番館で観た『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』 (66年)と『101匹ワンちゃん大行進』(61年)というおかしな二本立てでした。
ウチのおやじは銀座のふぐ料理店に勤めていたんです。プロ野球選手や芸能人、大企業の社長、政治家が来るような高級店でした。
一人っ子でしたし、お坊ちゃまとしての生活を満喫しました。