「すごく開放的に書かせてくださったんです」
驚きつつも、まず「出すなら自分で書くしかない」と決め、文章や構成なども手がけることにした。
「いちから文章を書いて、たまに行き詰まりつつ、編集の方と二人三脚でやっていきました」
ーーどのあたりで行き詰まったんですか?
「最初は15篇くらいしかなかったんです。でも編集の方から"30篇は入れよう”と言っていただいて。“重い話だけじゃなく、軽い話でもいいんじゃないか”と提案いただいて、すごく開放的に書かせてくださったんです。最終的には、歌詞も含めて40篇くらい収録しています」
愛あふれる家族のことや、ドラマのような初恋の話、うまく泳げなかった学校のこと、アイナさんの原点となったミュージカルスクールで学んだこと、上京直後の痛み、音楽で表現するということ、ひりひりとした親友との関係、BiSHでの切磋琢磨、初めてのミュージカルの舞台、音楽のプロフェッショナルたちとの刺激的なふれあい、ステージで倒れた日のことーーなどの合間に、キャバ嬢と焼き肉を食べたエピソードや、マッサージの話など、アイナさんの感性の向くままに多様なエピソードで編まれている。
「最初に書いたのは、プロローグ、武道館に立つ前の心境です。本当に武道館公演の前日、リアルタイムで書いていました。誰にも言えないひりひりとした感情があって、普段からスマホのメモに書く癖があって、いつもの感じで書いていました」
