「楽器を持たないパンクバンド」BiSHの解散から2年。ソロアーティストとして活動するアイナ・ジ・エンドさんの活躍が目覚ましい。シンガーソングライター、ダンサー、そして俳優としても才能を開花させるなど、とどまるところを知らない。6月9日には、その豊かな表現力が余すことなく発揮された初のフォトエッセイ『達者じゃなくても』(幻冬舎)を上梓する。そんなアイナさんのTHE CHANGEとは。【第4回/全5回】

ソロアーティストとして多方面で豊かな才能を見せるアイナ・ジ・エンドさん。ミュージシャン、ダンサー、シンガーソングライター……と、表現の幅はとどまるところを知らないが、映画初出演して初主演に抜擢された、2023年10月公開の映画『キリエのうた』は、監督・岩井俊二さんが脚本執筆中にアイナさんのライブをオンラインで視聴し、その歌声に衝撃を受け、じきじきにオファーしたことで実現した作品だ。アイナさんの役柄は路上ミュージシャンとその姉という一人二役であり、主題歌を含めた劇中歌6曲を書き下ろしたという。
だからこそ、岩井俊二さんと音楽を担当した小林武史さんとは濃密な時間を過ごし、「結構分厚い出会いだった」と振り返る。
「岩井さんと小林さんとはずっと一緒にいたんですけど、もうびっくりしました。昭和の感じ、っていうんですかね?」
ーー昭和の感じ?
「たとえば……今だと、2時からレコーディングだというスケジュールなら、2時に始まって終わったら帰るじゃないですか。きっちりとやるじゃないですか。でも、ふたりは時間の使い方がすごく有意義なんです。2時に入っても、まずは1時間談笑して、その間には犬に餌をやる時間もあって」