「好きな女優さんの作品を見て感想を書きなさい」マネージャーに叩き込まれた女優としての基本

 そんな彼女の中に、プロの女優として生きていく覚悟が生まれたのはいつのことか。

「22歳で就職活動もせずに大学を卒業した時には、女優で食べていこう、と考えていました。それでも私は甘くって、埼玉の実家で暮らしていたというのもあって、危機感みたいなものが自分の中にはほとんどなかったんです。

 “この世界で生きていくんだ!”“芸能界で成功するんだ”という意気込みはありましたが、当時のマネージャーには“社会人としての自覚を持ちなさい”と言われっぱなしでした。

 “まず10年後のビジョンを持つこと”それから“好きな女優さんを見つけてその人の作品を全部見て感想文を書きなさい”と、女優としての基本を叩き込まれた気がします」

 安室奈美恵や宇多田ヒカルのヒットソングが街を彩り、まだミリオンセラーという言葉が身近だった平成。そんな時代に手渡された一枚の名刺が「THE CHANGE」となり、女優への道を踏み出した入山法子が描いたビジョンは、いま大きく花開いている。

 

入山法子(いりやま・のりこ)
1985年8月1日生。埼玉県出身。大学に入学した2004年に『週刊朝日』(朝日新聞出版)の表紙を飾る形でモデルデビュー。06年にはTOKIOの長瀬智也が主演した人気ドラマ『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ)で女優活動を本格化させた。その後、07年『ハケンの品格』(日本テレビ)翌08年・映画『ハッピーフライト』(東宝)といった話題作に出演し評価を高める。11年には初主演ドラマ『霧に棲む悪魔』(東海テレビ)が放送。22年には三好達治の生涯を描いた映画『天上の花』(太泰)で主演を務めた東出昌大の妻・萩原慶子役を熱演。ドラマ・映画・舞台と様々なフィールドで活躍している。

ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ Season2』
5月2日よりTBS・MBSで毎週火曜日に放送中。お金だけを信じ、お金のためだけに働く女子大生ソープ嬢役を主演の茅島みずきが演じる。同じ店で働く江美役には入山法子。江美は占いに人生を委ね、周りに流されながら生きていく40代の女性だ。そんな彼女は父の死去に伴い実家に戻るも、心酔する占い師の導きによりスナックで働くことになる。ある日、そのスナックの常連客から関係を持ちかけられ……。