日常のなかの、ふとした瞬間に訪れる心のざわめき。そんなときは?

 揺れを感じるが、恐怖を覚えるレベルではない「震度3」。これがタイトルになったのは、「平穏なのか不穏なのか、錯覚なのか現実なのか、日常なのか非日常なのか、そのはざまの揺らぎを描きたい」(赤堀さん)からだという。そんな心のざわつきに、上白石自身はどう向き合っているのだろうか。

「心配性なので、大事なシーンに入る前、あるいは自分の人生について不安を感じることもあります。震度3ではおさまらないくらいに(笑)。心がゆらぎながら生きていますが、怖さや不安って、ごまかすものではなくてそれらを実感できているときこそ安心できますね」

──ネガティブな感情にも、目を背けないで向き合っている、ということでしょうか。

「そうですね。楽しいときや幸せなときは、ネガティブなことって忘れてしまうと思いますが、気分がいいときとそうでないとき、どちらも自分なので。苦しみも自分で咀嚼(そしゃく)したいですね。
 いまでも本番前は緊張しますし、“明日の場面が不安なんだけど、どうしよう?”ってChatGPTに聞いたりもします。“うまくやろうとしないで、素直な気持ちでやればOK!”みたいに、ちゃんと答えが返ってくるんですよ(笑)」

 「答えてくれるんだ! 俳優でもないのに腹立つ(笑)」と、赤堀さんも驚いた意外なAI活用術も、彼女なりの緊張へのコントロール術のようだ。

(つづく)

上白石萌歌
2000年2月28日生まれ。鹿児島県出身。2011年 第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞し、デビュー。2016年にミュージカル『赤毛のアン』で舞台初主演。2019年、映画『羊と鋼の森』(2018年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年公開された映画『366日』ではヒロインの玉城美海を演じた。adieu名義で音楽活動も行い、2024年11月27日、約2年ぶりとなるミニアルバム『adieu4』をリリース。
ヘアメイク/坂本怜加(Allure)
スタイリスト/道端亜未

■作品情報
赤堀雅秋プロデュース『震度3』

【作・演出】 赤堀雅秋
【出演】 荒川良々 丸山隆平 上白石萌歌 
水澤紳吾 山下リオ 西本竜樹
松浦祐也 赤堀雅秋 あめくみちこ

【東京公演】
公演日程 2025年8月21日(木)~9月7日(日)
会場 本多劇場
【大阪公演】
公演日程 2025年9月10日(水)~9月16日(火)
会場 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【福岡公演】
公演日程 2025年9月19日(金)~9月21日(日)
会場 J:COM北九州芸術劇場 中劇場
【公式サイト】https://www.comrade.jpn.com/shindosan/