「不安になること自体はいいこと」その言葉の本当の意味

──学生時代は学業と仕事の両立もされていたそうですが、大変ではなかったでしょうか?

「どちらも生活の一部として当たり前になっていたので、切り替えることでむしろ気分転換になっていましたね。私は入学後にコロナ禍が起きたこともあって、リモート授業も多かったです。おうちでレポートをやってから現場に行ったりもしました。どちらも私がやりたくて選んだ道でもありますから、中途半端にしたくないし、やる気もわいてきて。大変だと思ったことはあまりなかったです」

上白石萌歌 撮影/有坂政晴 ヘアメイク/坂本怜加(Allure) スタイリスト/道端亜未

──そうして大学も卒業し、いま俳優として大切にしていることを挙げるなら?

「生活の中に流れる、どんな気持ちも無駄にしないこと、でしょうか。経験が増えると、想像できることも増えて“これ、大丈夫かな?”と、かえって不安が大きくなるときもあります。
 でも、それだけ本気で物事に向き合っているということだと思うので、不安になること自体はいいことだなと思います。どんな感情も役を理解する材料になると思うので、“生まれた感情や衝動をバクバク食べていく”くらいの気構えで、自分の心と向き合っています」

 現代の芸術。エンタメはどこから来たのか──表現を職業にするに飽き足らず、好奇心のおもむくままに学んでいった上白石。この学生時代、並行して俳優としても大きな出会いをくれた作品にめぐり合う。

(つづく)

上白石萌歌
2000年2月28日生まれ。鹿児島県出身。2011年 第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞し、デビュー。2016年にミュージカル『赤毛のアン』で舞台初主演。2019年、映画『羊と鋼の森』(2018年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年公開された映画『366日』ではヒロインの玉城美海を演じた。adieu名義で音楽活動も行い、2024年11月27日、約2年ぶりとなるミニアルバム『adieu4』をリリース。
ヘアメイク/坂本怜加(Allure)
スタイリスト/道端亜未

■作品情報
赤堀雅秋プロデュース『震度3』

【作・演出】 赤堀雅秋
【出演】 荒川良々 丸山隆平 上白石萌歌 
水澤紳吾 山下リオ 西本竜樹
松浦祐也 赤堀雅秋 あめくみちこ

【東京公演】
公演日程 2025年8月21日(木)~9月7日(日)
会場 本多劇場
【大阪公演】
公演日程 2025年9月10日(水)~9月16日(火)
会場 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【福岡公演】
公演日程 2025年9月19日(金)~9月21日(日)
会場 J:COM北九州芸術劇場 中劇場
【公式サイト】https://www.comrade.jpn.com/shindosan/