慈愛に満ちていた田村高廣さんの表情
――田村さんが。
「“僕、こういうところ苦手で入りづらくて”と言ったら、田村さんが“僕もそうなんだよ”と。本当は違うかもしれないんですけどね。だって何十年もやってこられて、田村さんが打ち上げが苦手なんて。でも“僕も苦手なんだ”って。そのときの顔が本当に慈愛に満ちていたんです」
――優しい先輩ですね。
「ほかに何をお話したかは忘れてしまいましたが、そのときに、寄り添ってくださった思いやり、田村さんの優しさをすごく感じて、ただ一方的に現場で見つめていただけでは分からなかった田村さんのことが分かった気がしました。“ああ、これがこの人なんだな”と。普段から柔らかな方でしたけれど、人として、誰にでも目線を合わせられる柔軟さを覚えて“こうありたいな”と思いました」
――その後、田村さんとは。
「もともと京都の方なので、僕が『水戸黄門』の撮影で京都に行ったときにはお歳暮を送らせていただいたりしていました。そのたびにお礼のお手紙をいただきました。亡くなるまで毎年やりとりさせていただいて、“君が頑張っている姿は見ています。君らしく頑張りなさい”といったお手紙をいただきました。あとの祭りですが、役者としての矜持も、もっといろいろ聞きたかったなぁと思います。田村さんのあの感じは、ほかの方にはあてはまりませんし、特別な思い出です」
原田さんと田村さんの、ステキな思い出と優しい思いを共有させてもらえて感謝だ。
(つづく)
原田龍二(はらだ・りゅうじ)
1970 年10 月26 日、東京都生まれ。90 年に「第3回ジュノン· スーパーボーイ· コンテスト」で準グランプリを受賞。92 年、ドラマ『キライじゃないぜ』で芸能界デビューを果たす。映画『日本一短い「母」への手紙』で第19 回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作にドラマ『水戸黄門』『相棒』シリーズ、映画『下町任侠伝 鷹』シリーズ、『太陽とボレロ』など。最新映画として主演を務めた『ハオト』が公開。ワイドショーのMCやバラエティ番組でも活躍。YouTubeチャンネルをはじめ、SNSも積極的に更新している。
●作品情報
『ハオト』
監督・脚本・プロデューサー:丈
出演:原田龍二、長谷川朝晴、木之元亮、倉野尾成美(AKB48)、村山彩希、三浦浩一、片岡鶴太郎、高島礼子
配給:渋谷プロダクション
公式サイト: https://haoto-movie.com/