「落語をやって17年。あと3年で20年」

 テレビの世界で20年。落語の世界で17年。方正さんにとって、次の区切りは大きな意味を持つ。

「20年というのは、大事やなと思ってるんです。落語をやって17年。あと3年で20年なんですけど、やっぱり20年で一人前と思ってます。テレビをやってるときも、20年ぐらいで一人前になれたかなと思えたんですよね。朝、急に電話かかってきてて、“ごめん、レギュラーの人が病気なんで邦正、来てくれないか?”って言われて、“わかりました!”って用意もせず、生放送に出て、一応対応できるようになったのが20年経った頃。あ、一人前になったなって。

 だから20年は一つの区切り。落語を始めて20年となる3年後。60歳で噺家の一人前。多分ね、神様仏様が、その時間軸を決められたと思うんですよ。ここから3年、そこに向けてという感じです。芸歴40周年・落語20周年で、大きなところでやりたいなというのは思ってますね」

最後に「人生でガッツポーズをした時」という話になった。

「人生でガッツポーズしたときってどれくらいあります? 僕、60近いんですけど、数回しかないんですよ。その一つなんですよね。落語と出合って、落語は一人で出来る新喜劇なんや、と気付いた時。人生でそんなにないでしょ。ガッツポーズは。僕の場合、あとは子どもが生まれたとき。もうそのときはね、細胞が喜びますわ。もう細胞が喜ぶからなんかピカピカに見えてきますよ。あと1回は月収が100万超えたとき(笑)。明細見て、ガッツポーズが出ましたよね。その3回。それぞれ、細胞が喜んでる瞬間なんですよ。そんなふうに思わせてくれる落語に出合えたわけやから、それは必死に進んでいかな、と思いますね」

月亭方正 撮影/三浦龍司

つきてい・ほうせい
1968年2月15日生、兵庫県西宮市出身。山崎邦正名義で1988年にGSX(ガスペケ)というコンビを結成しデビュー。その後、相方の芸能界引退を機にピン芸人として活動、テレビ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』などに出演。2008年5月に月亭八方より「月亭方正」と名乗ることを許され高座に上がる。2012年より噺家としての活動に専念するため関西に拠点を移した。

(公演情報)
《東京》月亭方正落語会 月一方正噺
日時:2025年9月12日 (金)
開演:21:15
会場:新宿末廣亭
ゲスト:ちょんまげラーメン