183センチの長身に、涼しげな目もとが映える俳優・竜星涼。そのルックスを活かした二枚目役が似合うだけでなく、個性派俳優としても開花してきた。今年32歳を迎えた竜星の半生をつくってきた、THE CHANGEを聞いた――。【第1回/全3回】

色気のあるオールバックの髪型に黒一色のスーツ。“水もしたたるいい男”を具現化したような装いで、竜星は取材の場に現れた。今夏出演の映画『九龍ジェネリックロマンス』らしい謎めいたムードも漂う。かつて香港に存在した美しくも妖しい街“九龍城砦”を舞台にしたこの映画で彼が演じるのが、ミステリアスな人物・蛇沼みゆきだ。
眉月じゅんの同名マンガを映画化した本作は、九龍城砦を舞台に過去の記憶がない鯨井令子(吉岡里帆)と、誰にも明かせない過去を持つ工藤発(水上恒司)を軸にした、ノスタルジックで切ないラブストーリーでありミステリー。竜星演じる蛇沼は巨大製薬会社の社長だが、ある目的を持って令子に近づいていく。
――蛇沼みゆきは初登場シーンから、いるだけで空気が引き締まるアクの強い役柄です。原作のマンガやアニメはどのように参考にしましたか?
「まずは原作に描かれている彼のバックボーンや性格に忠実に、すべて参考にしました。原作はまだ未完結ですし、映画の中で凝縮されて描かれていない部分もありますが、原作の蛇沼から得られるものはすべて吸収しながら演じたつもりです」