自分たちのレーベルを立ち上げたものの、当初は不安も感じていた

名嘉さん「最初はめちゃくちゃ不安だったよね。30歳を前にして自分たちで新しい道を歩もうと決断できたのは、同級生たちの存在が大きいです。仕事で(役職が)店長になった人がいたかと思えば、次に進むために仕事を辞めた人もいたし、東京のイタリアンの店で頑張ってた子が沖縄に帰って挑戦しようとしていたり、とかね。そうした姿に刺激をもらいました」

仲宗根さん「だから私たちも最後の転職じゃないけど、次に行こうと思えた」

名嘉さん「“いよいよ沖縄に本腰を据えて、骨をうずめるぞ”といった気合が全員にあったんです。それと、日本全国にいろいろなアーティストさんがいらっしゃるなかで、僕らは群を抜いてホームシックなバンドなんです(笑)。沖縄でじっくりと曲を書きたい、書かなきゃいけないと思ったんですよね」

 自分たちの力だけで挑戦したいという強い気持ちの芽生えは、彼らの人気曲のひとつ『AM11:00』の制作エピソードからも、透けて見えてくる。

名嘉さん「タイトルは、僕が起きた時間です(笑)。その朝見た夢に出てきた女性がすごくすてきだったので、曲に書いてみようと思いました。最初にヒデ(新里さんの愛称)に聴かせたら、“めちゃくちゃいいじゃん”と言ってくれて、たまたま一緒にいたヒデのお兄ちゃんも褒(ほ)めてくれました。そんな感じで、曲のデモは割とすんなりできたんですが、いざ本格的に制作となったら、知らぬ間にプロデューサーが入ることになっていて、すごくびっくりしました」

許田さん「うん、驚いた」