人気アイドルからデスメタル、萌え系まで、どんな楽曲も歌いこなす山下絵理さん。“仮歌の女王”の異名を持ち、数えきれないほどのアーティストたちをガイドボーカルで支えてきた。
 約25年間、黒子に徹してきた彼女が、「作曲家・三木たかし生誕80周年記念プロジェクト」の歌手として大抜てきされ、三木たかし氏の秘蔵曲で今夏デビューした。ドラマチックな半生をたどってきた山下さんの“THE CHANGE”を語ってもらった。【第2回/全5回】

山下絵理 撮影/松島豊

 幅広いジャンルの楽曲を歌いこなす「仮歌の女王」として、音楽のプロから絶大な信頼を得てきた山下絵理さん。たまたま名作曲家・三木たかし氏の未発表曲の仮歌を歌ったところ、プロデューサーの耳に留まり歌手デビューが決まった。

 人生の大逆転劇、“THE CHANGE”によって、シンデレラストーリーを地で行く彼女。だが、歌手として人前で歌うことに戸惑う日々だという。

「小さいころから音楽は好きでしたが、人前に出るのが苦手で。学校のクラスで手を挙げることはおろか、音楽の授業ですら後ろの方で隠れて歌っているような子どもでした。歌は好きなのに、人前に出ると緊張して固まってしまい、身動きが取れなくなっちゃうんですよね」