天職に出合った瞬間は中学生時代に受けた“衝撃”にさかのぼる
大好きな歌を、人目を気にせず歌える「仮歌」は、まさに彼女の天職なのだろう。
「とくに、中学時代、ホイットニー・ヒューストンの『RUN TO YOU』に出合い、“歌声って楽器なんだ”と衝撃を受けて以来、オタク度が増しました(笑)。例えば、このアーティストをプロデュースしているのは〇〇さんだから、今度は〇〇さんが手がけている別のアーティストのアルバムを聴いてみよう……みたいな感じで、子どもなりに深掘りして音楽にハマっていったんです。実家の近くにある図書館に通い詰めて、洋楽のCDを片っ端から聴きましたね。
そんなふうに、こもって音楽を探求するのが好きでしたし、プロになってからも30代で自宅に録音ができるスタジオを造り、ひとり黙々と歌っていました。ずっと“おひとり様”で音楽と向き合っていたんです。だから、歌手デビューは夢のようなありがたいお話ですが、その一方で、“歌手になったら、コンサートや音楽番組などで表に出て歌わせていただくこともあるんだろうな”と思うと、すごく怖い気持ちにもなりました」
40代で訪れた人生の“THE CHANGE”に戸惑いながらも、前向きに取り組めるのは亡き母の存在だ。
「前回もお話ししましたが、このデビューはテレサ・テンさんが大好きだった母がつないでくれた大切なご縁だと思っています。なので、恥ずかしい、緊張する、怖いといった、自分の小さなエゴで手放してはいけないと思ったんです。歌手活動のすべてが、人生で初めてのことですが、全力で“来た球を打つ”という気持ち取り組んでいます」