俳優・中島歩の姿は、NHKの朝ドラ『花子とアン』や大河ドラマ青天を衝け』、映画や配信ドラマ、ミュージックビデオなど多くの作品で目にしている。
 そのデビューは、2013年にパルコ劇場40周年記念公演『黒蜥蜴』で200名にもおよぶオーディションの中から選ばれたことだった。
 唯一無二の存在感を放つ人気俳優の重要な変化、「THE CHANGE」とはなんだったのだろうか?【第2回/全3回】

中島歩 撮影/片岡壮太

 8月11日から公開される話題の映画『さよならエリュマントス』。主演は「ミスマガジン2022」でグランプリを受賞した瑚々と咲田ゆな、ミスヤングマガジンとなった麻倉瑞季、ミス週刊少年マガジンを受賞の斉藤里奈、読者特別賞を受賞した三野宮鈴、審査員特別賞の藤本沙羅というフレッシュな6名が務める。

 この作品で中島歩さんは彼女たちが演じるチアリーダーグループのマネージャー役を演じ、強烈な個性を発揮しているが、演技経験の浅い、若い俳優たちと共演することで、ある特別な感情が沸き起こったという。

「自分が芝居を始めた頃を思い出しましたね。彼女たちのお芝居を見ていて“自分の手の位置をどうすればいいのかがわからないんだろうな”とか“目が泳いじゃってるな”とかすごく思うんですよね。

 でも、僕が気をつけなきゃいけないのは、そんな彼女たちのお芝居を絶対なめてはいけない、ということですね。彼女たちは一生懸命やってるわけだから、うまくいってなくても小馬鹿にしちゃいけない」

 かつての自分と重ね合わせることによって見えてくる共感だけでなく、同じ共演者として敬意を持つという姿勢について、中島さんはさらに続ける。

「演技するってすごい恥ずかしいことなので、そういうことがトラウマになっちゃったりすると、芝居すること自体が嫌いになってしまうかもしれないので。

 むしろ恥をかいていいし、思い切ってやっていいって思うんです。僕は年も上ですし、先陣切って恥かきに行くぐらいのつもりでやったというところがあったかもしれないですね」