映画では、ある日突然、殺人犯に仕立て上げられるサラリーマンを熱演

 ハウスメーカーで一生懸命働き、妻と娘に恵まれた山縣泰介(阿部)は、ある日突然、彼のものと思われるSNSアカウント「たいすけ」から女子大生の遺体画像が拡散されたことで、殺人犯に仕立て上げられてしまう。

 会社の同僚にも信じてもらえず、個人情報をさらされ、匿名の群衆からの逃亡劇が始まる。逃げ惑う泰介だが、次第に真犯人を見つけようと気力を取り戻していく、スリルとミステリーが同居する作品になった。

──演じる山縣泰介には、どんな印象を持って撮影に臨みましたか?

「正義感が強い人です。彼なりに“自分は会社や家族のために正しいことをしている”と強く信じていて、それを誇りにして生きてきたと思います。周囲からも尊敬されていると思い込んでいる。自分が見えていないんです。それが、炎上で部下からの本音などを突きつけられて、自信が根底から揺らいでいく。初めて“他人から見た自分の姿”に気づかされるところに、この物語の面白さがあります。誰もがみんな、自分自身のことが一番分からないものなんじゃないですかね」

阿部寛 撮影/有坂政晴 ヘアメイク/AZUMA スタイリスト/土屋詩童