サッカー元日本代表FWの岡崎慎司(39)は現在、ドイツの地で奮闘を続けている。昨年5月に惜しまれながら現役を引退。その後、ドイツ6部リーグ「FCバサラ・マインツ」の監督として、指導者人生をスタートさせた。

撮影/渡辺航滋(Sony α1使用)

 これまでサッカー選手として世界最高峰のイングランドのプレミアリーグで優勝し、日本代表では歴代3位となる50得点を決めるなど、輝かしい経歴を誇る男はなぜ、ドイツの下部リーグで“新たな挑戦”を始めたのか? 

 そこには24歳のときにスタートさせた“壮大なる構想”と、日本サッカーに対する“熱い思い”があった。異国の地で次なる目標に向かって疾走を続ける“一生ダイビングヘッド”こと、岡崎慎司の人生の転機、THE CHANGEに迫る! (全4回/第1回)

運命を変えた1本の電話「監督をやりたいのなら今しかないよ」

 その話が舞い込んだのは現役最後の舞台、ベルギー1部シント=トロイデンVV。選手としての引退を決意した岡崎は、自身が創設にかかわったFCバサラ・マインツを託している盟友にある日、相談の電話をかけた。すると、思いもかけない申し出を受ける。

 バサラ・マインツの監督が、ブンデスリーガのマインツ05の女子チームの監督に抜擢され、バサラ・マインツを率いることができなくなったという。

「バサラには監督がいないから、監督をやりたいのなら今しかないよ、という話だったんです。これはもう、他の誰にもできないことだなと思いまして…。それまで、バサラ・マインツのチーム運営には選手としてプレーをしながら、二足のワラジでやってきました。

 でも、そもそも自分がやり始めたことでもあります。覚悟を決めて、バサラ・マインツに戻ってきたのが、1年前。これが僕の監督人生のスタートです」