最も苦労していること「そもそもドイツ人と日本人では“目的”が違っていた」
監督として1年が経過した現在、岡崎が最も苦労していることは何か?
「選手のマネジメントの難しさですね。そもそもドイツ人と日本人では、サッカーをする目的が違っていました。6部のバサラはアマチュアですので、このチームに所属するドイツ人にとってサッカーは、ある意味、生活の一部にすぎない。サッカーは好きだけど、家族との時間のほうが大事という選手も多い。サッカーは最優先するものではなく、3番目とか4番目ぐらいの考えです。一方で日本から来た選手たちは、サッカーに夢を抱いています。
たとえば、ドイツの選手たちが家族との時間のために練習を休んで、試合に出られなくなる。それは普通だと僕は思う。毎日、練習に来る日本人たちを優先するのは、当たり前でしょ、と思っていたのですが、やっぱりコミュニケーションをとらなければいけないなと思ったんです」
そうした考えに岡崎を気づかせてくれたのは、14歳と16歳の息子たちの存在だった。
「子どもを見ていても、素直に言うことを聞かないし、思い通りにはならない。自分の考えが当たり前じゃないというのは、そこで、すでに経験していた。チームの監督と立場が似ていますよね」
選手全員がそれぞれ違うし、チームの方針を受け止める選手もいれば、外に矢印を向ける選手もいる。そして、辿り着いた答えが“コミュニケーション”だったのだ。