監督としてもガムシャラ「給料を払えないので寿司屋さんで働いてもらって…」
さらに岡崎は、チームの質を高めるために専門スタッフの確保に力を注いだ。日本からフィジオセラピスト(理学療法士)を招き、元ブンデスリーガ2部のアナリストも引き入れた。選手時代のときもそうだったが、監督になっても、とにかくガムシャラだ。
「フィジオセラピストの彼には、寿司屋さんで働いてもらって就労ビザを下ろしてもらいました。バサラ兵庫から呼んだゴールキーパーコーチも、その寿司屋さんで就労ビザを取っています。サッカーチームは上を目指せば目指すほど、たくさんの人が必要となってきます。監督になって考えてみると、サッカー選手がどれだけ楽だったか」
そしてFCバサラ・マインツでの挑戦は、岡崎にとって、さらなる高みを目指すための重要なチャレンジになると考えている。
「僕の夢はね…日本代表の監督になることです。バサラ・マインツで結果を出して、5部、4部、3部ぐらいまで近づいていければ、自分の夢にも近づいていきます。チームで結果を出すということが、監督としての自分の証明になるところも今はあります」
プレミアリーグ制覇というサッカー選手としての頂点を経験した男の“新たな挑戦”が、ドイツの小さなクラブから始まっている。その先に見据えているのは、日本代表監督だという。では、なぜ日本代表監督なのだろうか?
第2回に続く
おかざき・しんじ 1986年4月16日生まれ、兵庫県出身。2005年に清水エスパルスに入団。2010年までストライカーとして活躍後、ドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーでも挑戦を続け、レスター・シティFCの一員としてプレミアリーグを制覇。日本代表として3度のワールドカップに出場し、歴代3位となる50得点を記録した。昨年5月、ベルギー1部シント=トロイデンVVで現役を引退。現在ドイツ6部のFCバサラ・マインツで監督を務める。感動を呼ぶゴールシーンから「一生ダイビングヘッド」、「魂のストライカー」などと呼ばれることも。