漫画好き&酒好きにとっていつまでも忘れられない名作といえる、酒うんちく漫画のパイオニア『BARレモン・ハート』が今年、40周年を迎える。作者である漫画家・古谷敏三さんの孫であり東京・大泉学園に実在する『BARレモン・ハート』の店主・古谷陸さんと、40周年記念作品の1冊を手掛ける“呑む文筆家”として知られる山内聖子さんのふたりが語り合う、THE CHANGEとは。【第4回/全5回】

10月10日に発売した『BARレモン・ハート 意外に知らない酒の基本知識』で監修を務める古谷陸さんと、執筆を担当した山内聖子さん。それぞれ、古谷さんは酒うんちく漫画のパイオニアとして知られる『BARレモン・ハート』の著者・古谷三敏さんの孫で、大泉学園で同名バーを経営するバーテンダー、そして山内さんは日本酒愛好家としてこれまで数々の日本酒に関する著書を持つ“呑む文筆家”、酒を生業にする両者が日々大切にしているのは「場の空気」だと話す。
古谷陸さん(以下、古谷)「僕がお店に行くときは“好きなお酒を飲みにいく”というより、シチュエーションを大切にしています。“このお酒が好きだからここに行こう”ではなく、"この店に行くなら、あのお酒を飲もう”とシチュエーションに合わせる感じ」
山内聖子さん(以下、山内)「そうですね。やっぱり"場”は大切ですよね」
陸「そうそう。雑多な居酒屋さんで200円のもつ煮込みを食べるならホッピー飲みたいし、みたいな」
山内「そこで高いワインとかいらないですからね(笑)」
ーー「場を楽しむ」って、大人の特権かと思います。
陸「そうですね。いろいろな方とのお付き合いがあり、いろいろな場所に行き、その場所でしか味わえない空気を楽しむという感覚ですよね」