放送後、偶然会った忌野清志郎さんは驚きの…
――そうでしたね。
「ディレクターもカメラマンもスイッチングもパニックですし、タイマーズをずっと映しているわけにもいかない。4文字の言葉を喚いてるわけですから。だからスタジオのアーティストたちを映す。するとみんなはそんなテロを起こす勇気はないけど、高見の見物で喜んでいて、オレだけ焦っているわけです。歌の間はしゃべることもできないし、終わってからはワンショット。“放送禁止用語に26回お詫びして訂正します”って、ずっと謝って。だから自分の勘への自信と、司会者の孤独、この2つを教えてもらいました」
――放送終了後は。
「楽屋に行って文句を言おうと思ったんですが、もういませんでした。ただ2週間後に偶然会いまして」
――そうなんですか!?
「西麻布のワインバーでTBSのスタッフと10人ぐらいで入っていったら、忌野さんがカウンターの奥でキレイな女性と一緒にいたんです。女性が奥にいて、入り口のほうを向いていて、忌野さんは背中を向けてたんだけど、明らかに口説いていた。そのとき女性が“古舘さんがいるよ”と教えました。そしたらパッとオレのほうを向いて、直立しておじぎしたんです。それでもう全てが溶解ですよ。ロシアの兵隊だって、あんなきれいなおじぎはしません。すごいですよ、エンターテイナーって。オリジナルを感じさせるしぐさがある。僕にはまだオリジナルのしぐさがない。頑張らないと」
当代きっての人気歌手が生放送で放送禁止用語を連発する。なかなか今では考えられないハプニングだ。そんなハプニングも人生の変化、THE CHANGEへとつなげてその後の活動に生かしていくのだから古舘さんもさすがである。
(つづく)
古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)
1954年12月7日、東京都生まれ。1977年、テレビ朝日にアナウンサーとして入社し、7月には新日本プロレスの実況中継番組『ワールドプロレスリング』の担当となる。1984年にフリーに転身。フジテレビのF1放送や競輪における現G1決勝戦などのスポーツ実況で人気を博すとともに、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)などで司会者としても支持を集める。1988年からは、マイク1本を武器にひとりで喋り続けるトークライブ『トーキングブルース』を開始。1994年、95年、96年にはNHK紅白歌合戦の白組司会も務める。2004年4月5日から2016年3月31日までは報道番組『報道ステーション』(テレビ朝日系)の初代メインキャスターとして番組をけん引。2020年YouTubeチャンネル『古舘伊知郎チャンネル』を開設。2025年12月から2026年3月にかけ、東京を皮切りに全国5都市で『古舘󠄁伊知郎トーキングブルース 「2025」』に挑む。
●公演情報
古舘󠄁伊知郎トーキングブルース 「2025」
出演:古舘伊知郎
主催:古舘プロジェクト
制作:テレビ朝日ミュージック
https://talkingblues.jp/
●公演概要
タイトル:古舘伊知郎トーキングブルース「2025」
2025年12月7日(日) 東京・EX THEATER ROPPONGI 開場15:00開演16:00
2026年1月18日(日) 福岡・Zepp Fukuoka 開場15:00開演16:00
2026年2月12日(木) 愛知・Zepp Nagoya 開場18:00開演19:00
2026年3月7日(土) 大阪・Zepp Namba 開場15:00開演16:00
2026年3月20日(金・祝)神奈川・KT Zepp Yokohama 開場15:00開演16:00