この冬、上演される舞台『忠臣蔵』で吉良上野介を演じる高橋克典さん。いわゆる“悪役”として描かれることの多い吉良をどう捉え、どう演じるのか、一筋縄ではいかない人物像は高橋さんの役者魂に火をつけたようだ。そして、『サラリーマン金太郎』(TBS系)や『特命係長 只野仁』(テレビ朝日系)など長く愛される作品との出会い、そこに秘めた思い。さらに「人生で最も大きな変化だったかもしれない」と語る「CHANGE」の瞬間も語ってくださった。【第2回/全3回】

高橋克典 撮影/河村正和

 今回の舞台『忠臣蔵』の演出は堤幸彦さん。堤さんとの仕事は約30年ぶり。

「『ポケベルが鳴らなくて』(日本テレビ系/1993年)というドラマが堤さんとの出会いで、お仕事としてはそれ以来になります。このドラマは僕にとって、ほぼ最初のドラマといってもいい作品で、僕も芝居なんてわからなかった時期で、現場でも冷静に周りを見ることもできなかった頃なんですけど、堤さんという方はすごくユニークな撮り方をするんだなという印象がは強いですね。
ただ、僕自身が経験も何もないので、そういう演出を楽しむまではいけませんでしたね。そこまで僕はいたってなかったので」

 このデビュー作ともいえる『ポケベルが鳴らなくて』が1993年。以来、ドラマ、映画、舞台とそのキャリアを重ねてきた。その中で高橋さんにとって「CHANGE」といえるのはどの瞬間なのだろうか。