ゆずや19の影響で路上ライブ「オリジナル楽曲を歌ってはいたものの、どこかファッション感覚のところがあった」
「一番大きな“THE CHANGE”は、やっぱり本腰を入れて音楽を始めた大学3年生のときじゃないでしょうか。
その前から、札幌の狸小路というところで路上ライブをしていたんですが、当時はゆずさんとか19(ジューク)さんが流行っていたから、ストリートでは2人組が彼らの曲をコピーしたりしてよく歌ってましたね。僕もその流れに影響されて路上で弾き語りを始めるようになりました。当初からオリジナル楽曲を歌ってはいたものの、“路上ライブをやっているのが趣味”みたいな、どこかファッション感覚のところがあったんです」
1990年代後半、アコースティックギターを片手にさわやかで親しみやすい楽曲を歌う男性デュオが大ブームになった。全国では、彼らをまねてストリートで歌う若者が増えていた。高橋さんは1983年生まれ。まさに、その世代と言える。
高橋優 撮影/冨田望
「大学3年生になって就職セミナーが始まると、否応なしに“4年生で卒業して、就職だ”みたいな空気になって。一斉に同じ年頃で就職し、何歳までに結婚して……みたいな、目に見えない線が引かれているような感じがしたし、そこに対してすごく違和感を覚えたんです。
そのときでしたね、自分が腹をくくって音楽活動と向き合い始めたのは。“公務員やサラリーマンの皆さんはだいたい〇万円ぐらいの給料をもらう。だとしたら、僕は何枚ライブのチケットを売って、CDをどのくらい売れば生活できるのかな”と、未来家計簿みたいなものを描くようになって。その実現に向けて、“ライブに100人動員できなかったら坊主にする”みたいな企画もしていました」