「自分の体が半分ないような感じ」

 自分本体で、そして本音で生きていくことの大切さに気づくきっかけとなった転落事故。しかし、そこに至る道のりは単純ではなかった。

窪塚「復活していくまでに、地味に長い時間を要しているんですけど、自分的にフラットに戻れた、って思えるまでがきつかったですね。その間は、レゲエミュージックが支えてくれていたんですけど、どこかで自分の体が半分ないような感じがあったんです」

窪塚洋介 撮影/初沢亜利

 窪塚さんは06年にレゲエDeejay「卍LINE」名義で音楽活動を開始。映画や舞台で俳優活動も続けていたが、長いこと、まだ自分本体で生きていない、と感じていたようだ。

窪塚「マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙-サイレンス-』(17年)に呼んでもらって、台湾で撮影して、アメリカに行ってレッドカーペットの上を歩いたりして、日本に帰ってきたんです。

 それで日本初公開となるジャパンプレミアの日、大阪から新幹線で東京に向かうときときに、窓から見た景色をすごく覚えているんです」