「人を傷つける笑いはやりたくない」その思いの原点

 スキー場でのロケで衝突事故に遭い、背骨を骨折した。相方も脳挫傷を負ったという。

「入院中、聞きたくもない話を聞いちゃうときがあるんです。看護師さんが『隣のベッドの方が亡くなったんですよ』とか話しているのを聞いてしまって、『ああそうか、ここは命を落とす方もいる場所なんだな』と、生死を強く意識するようになりました」

 当時はスマートフォンが普及する前だったこともあり、入院中の娯楽はテレビだけだった。何の気なしに見ていたテレビ番組のなかで、ある芸人が発した言葉が、耳について離れなくなった。

「『うるせーな! おまえなんか死んじゃえよ!』というつっこみがあったんです。テレビの中では笑い声が聞こえるんですが、病室はシーンとなって。そのとき思ったんです。『五体満足な状態で、そして家で観ていたら笑えることも、病院で観ると笑えないんだな』と。そこから、人を傷つけるような笑いはやりたくないな、と考えるようになりました」

ーーテレビでの振る舞いなど、仕事に対する意識が変化したんですね。

「『自分みたいに入院中、やることがないからテレビを楽しもうと思って観ている人ってたくさんいるよなあ』と改めて気付かされたというか。精神的に参っちゃっているときは、楽しいものがいいですもんね。そこを目指さなきゃなあと思いました」